東海村立幼稚園の再編計画の問題
東海村立幼稚園が「再編計画」の名のもとで,統廃合がすすめられようとしています。この計画の何が問題かについて考えました。街角で,この問題について訴えたいと思います。
東海村には,6小学校区に,幼稚園4園とこども園の幼稚園部門1園,合計5園あります。そのうち幼稚園4園は,2024年に2園, 2026年に1園を廃止して,最終的に1園に統合する「再編計画」が進められています。
「再編計画」で残される幼稚園は村松幼稚園です。村の3〜5歳児のおよそ200人がこの1カ所に集まり日中をすごすことになります。
幼稚園の統廃合は避けられない課題だとしても,村のこの「再編計画」には看過できない問題があります。
第一に,村松幼稚園は,4園のうちで東海第二原発にもっとも近い幼稚園だという問題です。放射能にとくに敏感な幼児の集まる幼稚園が,なぜ,よりによって原発に一番近い村松幼稚園なのか。この計画には,子どもたちの放射能の被ばくリスクを回避するという配慮がありません。
第二に,迅速な避難の実現性に対する不安です。幼稚園の利用者は幼児,すべて避難の要配慮者です。子どもたちの登園は原則,各家庭の送迎とされていますから,原発事故が起きれば,保護者たちが子どもたちを車で迎えに来ることになります。
しかし,村松幼稚園の駐車場台数は十分でないうえに,幼稚園に接道している道路は狭い。原発事故が起こり,200人の幼児の保護者たちが一斉に迎えに来れば,道路は渋滞が予想されます。
村は,定員,施設、敷地面積の規模からいって1園に集約できる幼稚園は,村松幼稚園のほかにないという理由で同園への集約を決めました。
しかし,3.11から教訓を引き出し,原子力防災を基本に据えて考えるなら,村松幼稚園ではなく,原発により遠く,より接道状態がよく幹線道路との接続がよい幼稚園を選ばなければなりません。
半世紀前,日本で最初の商業原発となる東海原発にイギリスの原子炉を導入する時,子どもの集団(学校園)が原子炉から2.5km内にないこと,という同国の立地基準に沿って村松小学校は移転しました。
その後,制定された立地審査指針は,原子炉周辺は非居住区域とし,その外側には低人口地帯であること,などを規定しました。しかし,この指針はその後,立地地域で徹底して無視され,東海村では,新設の照沼小学校の至近距離に東海再処理施設がやってきました。
そして,今回,公立幼稚園の入園を希望する家庭の子どもたちを原発にもっとも近い幼稚園に集めるという計画が進められようとしています。私には,子どもの安全を無視した,この「再編計画」に正当性があるとはとても思えません。
村立幼稚園再編に向けた対応方針(案),2021年4月
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