理不尽な奈良高校移転計画に対して一奈良高校卒業者から
県立平城高校を閉校して未耐震の奈良高校を平城高校に移転させて耐震化問題を解消させるという県教育委員会の計画に胸を痛めています。9月18日,奈良高校保護者有志の方々が,奈良県教育長に宛て4回目の公開質問状を提出されました。以下は,この公開質問状に添付された筆者の文章です。
私は,昭和47年に奈良高校を卒業し,現在は茨城県に住まうものです。
今年の冬,貴教育委員会が,平城高校を閉校し,耐震改修が未達の奈良高校を平城高校に移転させるという計画をすすめようとしていることを知りました。
まるで平城高校を乗っとるかのような方法で,奈良高校の未耐震問題を解消するこの計画に,奈良高卒業者として情けなく,平城高校の生徒と関係者に申し訳ないという思いに発して,また,専門の住居学と住環境計画学の関心から,市民の議論とメディアの報道に注視してきました。
この計画には,学校関係者とりわけ生徒と,地域社会にもたらす影響はたいへん大きいものがあると思っています。
第一に,平城高校生徒は,閉校への不安を抱きつつ,合理的な説明がいっさいなされないまま計画が実行されようとすることに県教育行政への深い不信を胸に刻んでいます。奈良高校生徒は,学校敷地内に危険な倒壊危険建物が放置されたまま不安で不便な仮設校舎での学校生活を強いられています。
第二に,奈良高校では当面の安全対策が施されましたが,700人を超す生徒が常時利用する西側運動場に建つ仮設4棟は隣棟間隔がほとんど取られず,採光,通風,防災上の重大な問題があります(図)。また,利用している生徒の感想から壁,天井,床に断熱材が入っていないことが推測されます。生徒の安全確保と健康面への配慮を欠いた拙速な施設計画が上記の重大な問題を招いています。
図 仮設校舎配置図
(図面左下の斜線で描かれた4棟が問題の仮設校舎です。この図は添付文書には入れていません)
第三に,生徒が常時利用する教室棟こそ材料,設備に投資すべきなのにそれをせず,一方で,体育館は仮設ながら高額な木造建築物を予定しています。何を重視し優先すべきかを考えれば,本末転倒の愚かな選択です。
この仮設体育館は,また,極めて狭く,巨大な投資ながら体育館の機能を果たすことがまったくできないという代物です。生徒のバランスある心身の発達に欠かせない学校体育館がないということはきわめて憂慮すべき問題です。
第四に,奈良高校を含む一帯をリニア新幹線の駅用として取得するため,知事の思惑により,あえて延期した後,移転に結び付けたとも言われています。駅を誘致するとなれば,これまでつくり上げてきた法蓮町の地域を大きく変容させるものです。
これに対する疑惑や不安を抱いている2つの高校関係者はもとより地域の方々に対しても,県教育委員会は,奈良高校を移転する計画の意図,意味を説明することが求められていると思います。
平城高校と奈良高校の将来がともにあることを願い,今回,奈良高校保護者有志の方々の公開質問状に添付して,私の思いを綴りました。なにとぞ奈良高校保護者有志の方々の切なる思いを汲んで,誠意ある回答をしてくださるようお願いいたします。
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