東海村長選立候補にあたっての私の決意
8月6日,茨城県庁で,東海村長選立候補表明の記者会見をしました。古臭い言い方ですけど,清水の舞台から飛び降りました。以下は,記者会見で配布し読み上げた「私の決意」です。
今日は広島の原爆投下の惨禍から76年目を迎えた日です。この日に,日本の原子力発電発祥の地である東海村の村長選立候補を表明することに,特別の感慨を覚えます。
私は,哲学(大阪大学)と,住居学と都市計画学(大阪市立大学大学院)を学び,学位を取得した後,茨城大学教育学部に赴任,家庭科教育で住居学を教えながら,地域の住宅,住環境・都市計画課題の研究に取り組んできました。
茨城での研究課題の一つが,東海村の原子力開発史でした。なぜこれをテーマにしたか。それは,原発に住宅地が近接している現状を目の当たりにしたからでした。住民の安全無視のこのような開発が許されてきた理由を明らかにしなければならないと思いました。その研究成果の一部は『原発都市 歪められた都市開発の未来』にまとめました。
東海村は,首都圏にエネルギーや食料を供給してきた茨城県のなかで,国策によって原発によるエネルギー供給を担ってきたところです。「歪められた都市開発」は,この過程で起こり,住民の安全無視の住宅地が当たり前のように広がりました。
それから60余年。世界はいま,エネルギー転換のさなかにあり,再生可能エネルギーの導入がすすんでいます。村民の大きな居住不安の元となっている老朽・被災の東海第二原発を再稼働させなければならない理由は,もはやどこにもありません。
東海第二原発は早晩,廃炉を迎えます。廃炉の安全確保とともに,原発に代わる産業振興をどう構想するか,東海村に問われている課題です。これを後回しにすることはできません。村の未来を構想するこの作業では,過去60余年の原子力開発のみに立脚するのではなく,村の歴史と文化にも配慮がいき届いた構想でなければなりません。幅広い住民の参加が求められます。
これに関連して,山田村政には,ジェンダー視点が完全に欠落していることを強く指摘しておかなければなりません。これまで女性の意見が積極的に村政に反映されることはありませんでした。防災や原子力政策はその典型で,たとえば,地域防災会議には女性委員が一人もいません(茨城新聞,2021年2月7日)。ジェンダー平等の民主主義(ジェンダー・デモクラシー)が,様々な政策課題で重要になっていることは論を待ちません。推されて私が村長選に立つことにした大きな理由の一つはここにあります。
最後に,今年3月の水戸地裁判決について言及したいと思います。
水戸地裁は,実現可能な避難計画に程遠いとして,東海第二原発の再稼働禁止の判決を言い渡しました。私は,茨城県内および首都圏で東海第二原発再稼働反対の運動をしている方々,全国の原発立地地域で反原発の運動をしている方々と連帯しつつ,再稼働をさせないという声を東海村長選で明確に上げようと考えて立候補しました。
多くの方々のご支援をお願いいたします。
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2021.08.08 02:48