東海第二原発GX抗議文(いばらき大集会 2022年8月27日)

いばらき大集会で,採択された決議文とともに,岸田首相が,日本の原発再稼動大号令ともいうべき7基再稼働と新増設方針を発表した。これに対して,大会は抗議文を発表,参加者全員によって採択された。こちらも併せて全文引用しておく。



東海第二原発GX抗議文

岸田首相は原発すいしん政策の「短絡的な号令」を撤回せよ


8月24日,GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議において岸田首相は脱炭素社会の実現に不可欠と称し原発の新増設と,来年夏以降,複数の既存原発の再稼働を加速させることを関係省庁に指示しました。この中には再稼働の議論ができる状況にない,茨城県の東海第2原発,新潟県の柏崎刈羽原発まで含まれています。「STOP!! 東海第二原発の再稼働いばらき大集会に参集した私たち市民は,この拙速な政府方針の表明に強く抗議します。


茨城県の東海第2原発は再稼働の議論ができる状態ではありません。

第一に,地元自治体で避難計画が出来ていません。この原発の30km圏には国内最多の94万人の住民が住んでおり各自治体の住民避難計画作成は未完のまま難航しています。茨城県の大井川知事が表明している通り実効性ある避難計画が策定されないうちは再稼働の判断ができる状態ではないと考えます。地元の住民を無視した岸田首相の指示には疑問を禁じ得ません。

第二に,原子力規制委員会の審査を受けた原発の中でも最も古い世代の原発である東海第2には安全性に関わる疑義がまだ残っています。直近でも,原発の心臓部と呼ぶべき圧力容器の健全性に疑いがあることが地元の科学者・技術者の会から「質問書」として提出され,それを受けて茨城県は東海第二発電所安全性検討ワーキングチームが検討をする,と表明しています。福島第一原発事故の教訓は,「論理的に起こりうる事故は起こる」ということだったはずです。

第三に,事業者である日本原電の計画に照らしても規制対策工事の完了目標は2024年9月を掲げており,彼ら事業者ですら地元自治体に対して判断を仰げる状況ではありません。

このような状況で,政府が,原発が立地している地元の頭越しに「電力が不足しているから原発再稼働を加速させよ」と号令をかけることは,再び原発事故を招く危険な振る舞いだと考えます。


日本政府がいま取り組むべきは「電力が不足しているから原発を動かせ」と短絡的な号令をかけることではありません。再生エネルギーの発電施設が太陽光を中心に大きなシェアを占めるようになった現段階に合った時間帯別の電源構成を計画すること,ひっぱく時間帯に対応できるミドル電源の増強,そして再エネ拡大の現実に即した送電系統の再構築ではないでしょうか。

岸田首相には冷静な判断を求めます。


                 2022年8月27日

                 STOP!! 東海第二原発の再稼働いばらき大集会参加者一同


0コメント

  • 1000 / 1000