原電の救急車要請について
11月1日,原電が「救急車の要請について」と題する次のような報告を発表した *。
発生場所:東海・東海第二発電所構内 協力会社事務所付近(非管理区域)
発生年月日: 2022年11月1日(火)
発生時の状況:東海・東海第二発電所構内の協力会社事務所付近において、運送会社社員(男性)が立ち眩みにより負傷したことから、13時58分に救急車を要請し、その後、病院へ搬送しました。以上
東海第二原発の工事現場で働いている作業員が,立ち眩みが原因で負傷し病院へ救急搬送されたという文書である。それにしても,状況説明が何もなく理解不能である。立ち眩みで負傷という事態は想像しにくいし,救急搬送となればどんな負傷だったのだろうととても気になる。心配にもなる。立ち眩んで倒れ打ちどころが悪く怪我をしたとか,高所にいて転落し怪我をしたとかいう事態を想定しないと,救急搬送は考えにくい。
この文書の下には,但し書きが小さく書かれている。
保全品質情報 ︓ 国へ報告する必要のない軽微な事象であるが,設備の信頼性を向上させる観点から電力各社はもとより,産官学で情報共有化することが有益な情報です。
国へ報告するほどの事故ではないが,設備の信頼性を向上させるために産官学に報告すると言う。しかし,この文書では状況も原因も何も書いていないから,「設備の信頼性向上」にはなんの役にも立たない。説明のある情報を提供せず,「設備の信頼性向上」のためとはおかしな話である。
また,「設備の信頼性向上」のためというが,事故発生は,組織体制,作業体制,労働環境などさまざまな要因が絡む。関心を「設備の信頼性」だけに絞っているのも問題である。
この文書は,ネットで公開されているものである。公開情報を最小限にした市民向けということか。「設備の信頼性を向上」させるために,産官学に報告する文書は別に作成され,もうちょっとリアルなことが書かれた文書が送達されているということだろうか。
東海村は「官」に含まれる。村は報告を受け取っているのだろうか。受け取っているなら,どんな報告を受け取っているのだろうか。ネット公開用と同じ文書だろうか。あるいは,もっと正確な報告を受けているのだろうか。村は,適当に受けていないだろうか。
東海第二原発の再稼働工事現場では,少なからぬ人身事故が発生している。2021年12月から今年8月までに発生した重大人身事故は4件にのぼる。救急車を要請したのは前回9月14日だった。わずか1ヶ月半前である。東海第二原発工事現場での事故は大変多いというべきではないか。私は,原電の安全管理に深い疑問をもっている。村は,厳しい目で見ていてほしい。
第1報「救急車の要請について」につづき,経過と原因,改善点確認などに関する第2報が出るだろうか。それを待ちたい。
* 原電:救急車の要請について,2022年11月1日
0コメント