東海村はなおも原発立地地域でありつづけますか

脱原発とうかい塾会報『浜ぼうふう』84号(2023年春号)


去年12月,経産省は,「将来にわたって持続的に原子力を活用」として原発の大転換方針を取りまとめました。原発の60年超運転,原発の建て替え推進,国による自治体の避難計画の直接的支援という内容です。

「原発回帰」策と言われていますが,私は,「原発永久固定」策と命名したいと思います。この政策が実行されれば,次のような,東海村に原発を固定化させる近未来像が描けるからです。

東海村の避難計画がいつまでたってもできないから,国の避難計画策定支援チームが介入して早期に計画を策定させます。原電の「安全対策工事」が完了したら,6市村首長の再稼働事前了解を取り付け,東海第二原発を再稼働,70年以上運転させます。一方で,廃炉中の東海原発は建て替え対象にしたので,さっさと廃炉を完了させ,「東海第三原発」に建て替えます。こうして原発2基を長期にわたって運転させます。

しかし,これがどれほど出鱈目な政策かは誰の目にも明らかです。「実効性ある避難計画」の策定は国も県も住民に約束したことですが,村民3.7万人の実効性ある避難計画は絵に描いた餅。それどころか,出鱈目を隠す悪質な仕事ぶりが次々明らかにされています。東海第二原発は,老朽かつ3.11被災の原発で,「安全対策」完了など宣言できません。東海原発の廃炉は,大量の解体廃棄物の捨て場がなくすすんでいません。

振り返れば,東海村は,アメリカ・アイゼンハワー政権の「原子力の平和利用」策に導かれ,イギリス帝国の植民地開発イデオロギーを手本にしてつくられた最初の原発植民地でした(論文は7月発表予定)。原研設置が決まった時は,事情がよくわからず,人々は,とにかく日本の「原子力センター」になると喜んだものでしたが,原産の本命だった東海原発が設置されてしまいました。

ひとたび原発を受け入れれば,原発植民地は,政治,経済,文化的に支配強化されてにっちもさっちも行かなくなります。岸田政権の原発政策が実行されれば,原発植民地は維持されます。

ロシアの戦争でウクライナの原発は戦略的施設になり,原発は「平和利用」などではなく,核兵器になってしまう危険極まりない施設だとわかりました。一方で,再生可能エネルギーはすでに原発より安くなり,価格格差は今後さらに大きくなることははっきりしています。2019年に東海村で行われた住民アンケートでも,原発から再エネへの転換に異論はありませんでした。

ならば,住民は,今こそ原発依存からの脱却を決意し,自立的な将来展望を描く時です。そのためにも,岸田政権の「原発永久固定策」は阻止しなければいけないと思います。


東海第二原発は首都圏の原発。事故が起これば事態は深刻(大石光伸氏提供)

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