原発「安全対策工事」の名で起こっている東海村の凄まじい開発　その２

図１　原発サイトと白方集落（Google Earth）

その急激な変化は，東海第二原発から960m西に住む川崎あつ子さんが，ツイッターで逐次，報告されてきた *。７月はサツマイモ畑だったが（図２），収穫をせず，12月には駐車場になった様子が記録されている（図３）。

図２　サツマイモ畑の向こうに東海第二原発を見る（川崎さんの2019年７月11日のツイッター）

図３　畑が駐車場になった（写真は，川崎さんの2020年２月21日のツイッター）

いったい，どのくらい農地が転用されたのか。村役場で情報公開を請求し農地転用許可申請書を入手した。申請は，2019年６月から2020年1月まで，全部で12件。駐車場の数で言えば６箇所，合計2.4haである（図４，黒い部分）。申請はいずれも一時転用申請だった。

地図中，横ななめに走る道路は「原電通り」，原電通りに右端で直行する道路（右下にわずかに見える）は国道245号である。国道245号沿いに原電サイトがある。

図４　白方集落で原電関係で農地転用された土地

（黒＝安全対策工事のために今回，転用されたところ，灰＝以前から宅地化されているところ）

早くから宅地化されていた灰色の部分は，いずれも原電サイト入り口に近い原電通りと国道245号沿いだった。駐車場として利用されている。今回新たに駐車場用地として確保されたのは，原電通り沿いだが原電サイト入り口から少し離れた３か所と，２本の幹線道路からはずれて白方集落内につくられた２か所である。幹線道路に接道しない初めての例である。しかもこの２か所は，以前に宅地化され駐車場になっている原電サイト入り口の駐車場（地図中右上，灰色の３か所）に次ぐ広大な駐車場となった。今回の転用の大きな特徴である。

白方区の中に確保されたこれら２つの広大な転用地について具体的に見てみたい。一つ目に取り上げるのは，もっとも広大で直方形の整形用地である。ここは，2019年８月同日に２件申請された。１件は３筆，合計3,248㎡，もう１件は３筆，合計4,870㎡である。２件の畑がまとめられてできた用地で，合計8,118㎡である。

その東どなりの，２番目に広い不整形な転用地は，翌９月同日に３件申請された。１件目は４筆，5,406㎡，２件目は１筆，925㎡，３件目は１筆，610㎡，３件合わせて6,941㎡である。これら２つを合わせると15,059㎡になる。

3,000㎡を超える申請は，村の農業委員会をへて県の農業委員会に回されて審査を受ける。この２つの駐車場の申請は１件3,000㎡を超えており，県の審査を受けたと思われる。

この２つの転用地は，先に述べたとおり幹線道路に接道せず，北と南で細い村道に接道しているだけである。住民の生活道路が駐車場の出入り口になっているのである。地区住民の間で工事関係車が住宅地内に入ってきて危ない，というのはこのためである。図３で見える駐車場は，手前に新しい２箇所，その先に畑を挟んで既存駐車場の３箇所である。住宅地の中で数100台の車が行き交う危険な状況が起こっていることがわかるだろう。

これら２か所の駐車場をはじめ，今回の転用農地は合計2.4haに達する。これまでに宅地化されていた灰色の部分は，今回の黒い部分よりはるかに広く，この地図中で見えるだけでも，1.5倍ぐらいは優にありそうだ。仮に1.5倍とすると，黒と灰色の合計面積は６haになる。白方集落内だけで少なくとも６haもの農地が駐車場のために宅地化されているという計算になる。

今回の転用地は一時転用で，宅地利用できる期間は最長３年である。原電は2022年12月に工事を完了させるというから，一応工事完了後，畑に戻すということを念頭にした転用許可になっている。しかし，先のブログでも書いておいたが，一つの地区で，あまりにも広い面積のこれら転用地がその後，畑に戻して耕作が再開されるか，農業後継者が不在のために困った状態になるか，あるいは原電が新たに農地転用申請（恒久的な転用）して原電の施設用地にするのか，よく動きを見ておく必要がある。

* 例えば，川崎あつ子さんの2020年３月24日のツイッター，https://twitter.com/jyuuouumare/status/1242534861685977088