コロナ危機と原発 その2 

東海第二原発サイトではいま,隣接する白方区内の何枚もの畑を駐車場に一時転用し,全国各地から作業員を大量に集め,地域を感染の危険に巻き込んでの再稼働対策工事が続行している。

4月,国の緊急事態宣言を受けて,国内の大手・準大手ゼネコンは工事中止,現場閉所をし,分譲建売系のハウスメーカーも,急速な経済の悪化で建てても売れないと見て,生産をストップしている。大企業がこうした対応をとっている一方で,原電は,住民の工事中止申し入れにも耳を貸さず,JV参加の鹿島・飛島などに工事を続行させている。

下の表は原電が提供した図だが *,3つの許認可にかかわる工事を2022年度内で完了させることを示している。原電は,工事完了を2021年3月としていたのを2022年12月に変更した経緯がある。今回のコロナ危機で,また工事が遅れる可能性が出てきているだろう。私は,工事の遅れは相当大きいのではないかと推測しているが,それだけに2022年12月を死守するために(もう無理だろう),工事休止,現場閉所は絶対にしたくないのだろう。


表  東海第二発電所の新規制基準等への対応状況 


この工事現場を襲っているコロナ危機の影響はどのようなものだろうか。

中国は鉄鋼生産を再開したが,国内では大幅な減産をしており,高炉を休止したところもある。これら国内外の鉄鋼生産の動きが原電の再稼働対策工事にどう影響しているのか,私には判断がつかないが,鉄鋼以外でも大幅な減産がすすんでいる中,資材供給の滞りが起こっている可能性がある。

また,東京などから東海村に移動してきた作業員は2週間の自宅待機をさせられており,人員確保の問題が生じているかもしれない。さらに,3密を避ける現場対応で,工事の進行に影響が出ているかもしれない。工事を遅らせないために,工事現場に無理なことを強いている可能性も否定できない。なにせ,ここには,コロナ危機であろうと何であろうと,強引に工事をすすめないといけない事情があるからである。

5月の連休中,東海第二原発サイトの周辺に設けられた駐車場に置かれた車はわずかになったが,原発サイトへの進入口には,誘導員が朝早くから立っていた。資材を搬入したり搬出する車両を誘導する仕事があったのだろう。連休中でも,サイト内では休むことなく作業がすすめられていたようだ。

原電は,工事に関する情報を提示していない。だから,工事はいま,どの段階にあるのか,工事続行による感染リスクはどこにどのぐらいあるのか,推測もつかず議論もできない。これらの市民的な議論を避け,工事を2022年度まで持っていこうということなのだろうが,コロナ危機のもと,がむしゃらに急ぐ原電の工事サイトは,本当に安全なのだろうか,私は疑っている。むしろ情報を開示して,市民の不安や議論をきちんと受け止めて対応することが,原発の安全につながる方法だと考える。


* 日本原子力発電「東海第二発電所の現況について」,2020年2月18日


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