東海第二原発を闇夜に浮かび上がらせる深夜の再稼働対策工事

このところ,東海第二原発サイトでは,深夜に及ぶ再稼働対策工事が進められている。東海第二原発から西960mに住む川崎あつ子さんが,5月20日(水)22時半頃,ツイッターでこのように発信された 。


さて寝ようと2Fのカーテンを締めようとしたら,午後10時なのに事務所に明かりが・・・。再稼働工事はやはり一直線に進められている様子。使用済み核燃料は乾式キャスクに収めるのに充分冷却されているし、速やかに収めれば暴走する危険もなく安全・安心な住民生活の保証になる廃炉のチャンスなのに。


このツイートとともに,図1が添付されていた。それは驚きの写真だった。奥に東海第二原発建屋と排気塔,クレーンが明るく輝いている。原発建屋の足元はひときわ明るく,工事をしていることが推測される。写真のもっとも手前,ジョイントベンチャーの工事事務所でも,1階の一室で作業がつづけられていた(照明がついているのは窓2枚分で,おそらく1部屋分)。この二つの光の間に横に並ぶ光は,国道245号の街灯や信号機などである。

図1 原発建屋と排気塔と,手前のJV事務所,2020年5月20日(水)22時すぎ(写真=川崎あつ子氏)


これは,貴重な記録なので,続いて記録を残していただくようにお願いした。そして翌21日(木)が図2である。この日も事務所は同じ部屋の窓に照明がついていた。撮影時,ライトをつけた車の通過で,この時の原発建屋と排気塔のシルエットはぼやけている。

図2 同,2020年5月21日(木)23時すぎ(写真=川崎あつ子氏)


続く5月23日(土)0時過ぎ,工事事務所の同じ部屋はやはり明かりが灯っている(図3)。雨で大気が煙るなか原発建屋周辺の地上の照明が空に拡散し,防砂林のラインを鮮明にうきあがらせている。この日も工事を続行しているようだ。

図3 同,2020年5月23日(土)0時すぎ(写真=川崎あつ子氏)


深夜,事務所で作業がつづけられ,東海第二原発サイトでも工事を続行しているのは,コロナ危機の影響を受けて,おそらく工事工程が大きくずれていることがあるからだろう *, **。原電は,2021年3月の工事完了予定を22年12月にずらした経緯がある。だから,22年12月を何としても死守したいと考えているはずである。もし工事完了期が後ろに大きくずれることがあれば,目指す再稼働も大きくずれる。そうなれば,いろいろな点で問題が大きくなるだろう。

そのような状況のもとで,工事会社は夜中まで作業を強いられ,全国から集まった工事労働者は,コロナ感染は絶対できないというプレッシャーのもと,深夜の過酷な仕事を強いられている可能性がある。

建設業界は全産業の中でも労働時間が極端に長いブラックな産業である。コロナ危機のもと多くの産業では休業や中止などの対応がなされてきたが,原発事業者と建設業者が組み合わさった原発の土木建設現場では,地域の不安や住民の要望を無視し,夜昼連続の工事がすすめられている。住民団体が,原発サイトにおける感染リスクを指摘し,原電に中止を申し入れている。工事は一旦中止すべきである。


* コロナ危機と原発,2020年5月4日,https://musashi-mutsuko.amebaownd.com/posts/8194088
** コロナ危機と原発 その2,2020年5月20日,
https://musashi-mutsuko.amebaownd.com/posts/8280016


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