茨城県大井川知事は自らの言葉で東海第二再稼働問題を語るべきだ

茨城県大井川知事は,県民に東海第二原発再稼働の是非を聞く前段階の手続きとして「3段取り論」を提示している。 ①県による東海第二原発の安全性の検証,②14市町村による実効性ある避難計画策定, ①と②ができたら,③県民に情報提供 するというものである。その上で,県民に再稼働の是非を聞くという。しかし,知事も認める困難な①,②を待ってから③などと言ってるうちに,原電の再稼働対策工事は完了する。

先に,関西電力は,美浜3号機,高浜1号機の再稼働対策工事完了の4ヶ月または6ヶ月後に再稼働するという工程表を発表した。地元自治体の事前同意のない段階の報道発表である。

原電は,東海第二原発の再稼働対策工事の完了予定を2022年12月としている。上の関電のやり方に倣えば,原電は,翌23年4月に再稼働などという工程表を発表することも考えられる。原電が,このような工程表をつくって再稼働了解を迫ってきたとき,事前同意権をもつ県と6市町村はどう対応できるだろうか。①も②も③もぜんぜん完了していないし,県民の意見も聞けてないから,もうちょっと待ってなどと,自分の都合を主張できるだろうか。

要するに,時間は大してないのである。知事の考えは「3段取り論」だが今年,県は,③について広報を出すことを明らかにした。ならば,大井川知事は,まずは,再稼働にかかわる次の根本的問題3点を県民にわかりやすく説明してほしい。

1)東海第二原発の再稼働は,県民全体の福利の増進という理念,目標に照らし合わせた時,どのような意味,位置にあるのか。

2)再稼働でどのような効果が期待され,どのような影響があると考えているのか。

3)現在,県と市町村が取り組んでいる,①安全性の検証,②避難計画の策定は,県民全体の福利増進に照らし合わせて,どのような位置づけが与えられ,どのような効果がある事業なのか。

これらが簡潔に説明されれば,県民は,大井川知事のこの問題に対する方針を理解することができ,知事が県民にどれだけ寄り添おうとしているか否かを理解することもできよう。県民が,再稼働の是非を判断するための有力な情報になるはずである。


東海第二原発は,日本の原発政策推進の舞台となった東海村にあるという,その象徴性だけの原発である。他にこれを再稼働させる意味,目的は何もない。大井川知事は,県民投票条例案が上程された6月県議会で,この問題について何も語らなかった。今任期中(2021年8月まで)に再稼働の判断はしないとも言っている。しかし,何も語らないということでは済ませられないのである。県民に丁寧に語るということを始めてほしい。


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