水戸市長選:東海第二原発再稼働問題について


来月4月に,水戸市長選が行われる。

これまで,水戸市長選の課題として水戸市中心市街地活性化,生活道路を取り上げた。3回目の今回は,東海第二原発の再稼働問題である。

前回2019年4月の市長選挙では,現職・高橋靖市長と弁護士・谷萩陽一氏の2人が選挙に出た。4月12日,市内で行われた公開討論会で,2候補は,この問題について次のように述べた *。


高橋候補,「実効性ある広域避難計画策定及び市民理解のない原発再稼働は認めない」


谷萩候補,「東海第二原発は再稼働をしようとしている。この原発の危険から市民を守るのが市長の責任である。日本原子力発電との安全協定に定める実質的事前了解権をいかして,再稼働に反対を表明し,再稼働を阻止して東海第二原発の廃炉を実現する」


避難計画づくりを始めて5年以上経っていた。現職・高橋市長には,「実効性ある避難計画策定」は可能か,その判断ができたはずである。しかし,その判断をしなかった。避難計画はできると主張するならその見通しを示すべきだったがそれもしなかった。ただのお題目を述べただけである。

他方,谷萩氏の説明は簡明で,分かりやすかった。谷萩氏の覚悟を聞いて,安心できた。


日々,多くの事案について判断を下して市政運営をしている市長が,5年かけても策定の見通しさえつかない計画は可能か,などすぐに判断できる。

それをしないのは,この問題について指示,あるいは支援という名目で圧力をかけてきている茨城県や国に忖度しているからである。できないと表明してしまえば,強力な圧力がかかり,次の選挙に出られないのは確実だからだ。

ここで,この2年前の2017年の茨城県知事選を思い起こしたい。

保守系新人の大井川和彦氏が候補に立ったので,現職・橋本昌候補は,告示と同時に,「再稼働は認めない」と言い,それまではっきりさせなかった再稼働問題について反対の態度を鮮明にした。橋本氏は,瀬戸際に立たされてようやく,できないものはできないという,至極当然のことを言ったのである。もっと早く表明するべきだった。

できないものはできない。それをはっきり説明するのは,市長の仕事だ。

保守系は誰が出馬するのだろう。誰であれ,「実効性ある広域避難計画策定及び市民理解のない原発再稼働は認めない」と,4年前と同じ,中身の無いお題目を唱えたら,その候補は,市民に対して責任を負うという信念と覚悟はない候補だと判断した方がよい。



* 「東海第二原発の再稼働了解に条件は必要か」,須和間の夕日,2019年5月13日





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